岩崎氏の経営哲学の一つが「経営リスクをどこまで減らせるか」。原点は三菱商事で最初の配属先だった果汁チームでの失敗にある。大手飲料メーカーから依頼された炭酸飲料の桃果汁の原料調達を任され、その夏に大ヒットとなった商品の舞台裏を支えた。その勢いに乗じて翌年分の原料をいち早く調達したが、翌年は売れ行きが止まり膨大な在庫をかかえた。
それでも上司は、岩崎氏を次の修業先のプリンセスへと送り出した。「そのときの反省と若い自分に仕事を任せてくれた上司への感謝の念が、英国での企業買収の仕事でリスクをいかに減らすかといった工夫につながった」と岩崎氏は振り返る。修羅場の経験が現在のリーダーシップを育んだに違いない。
小売りや食品業界などで外部人材の登用が目立つのは、思い切った海外戦略や新たなビジネスモデルに踏み込まないと、急速に合従連衡が進む業界内で生き残れないとの危機感が背景にあり、後継者難も重なる。若い頃から財務や企業統治のイロハをたたき込まれる商社マンを経営トップに迎えることで、組織の強化や経営の変革を図る狙いもあるようだ。