8年目までに海外
三菱商事が経営を担う人材の育成に力を入れる背景には、同社の収益構造がこの10年で貿易から事業投資へと大きく変化したことがある。かつてはメーカーの輸出代行で手数料を稼ぐのが仕事の中心だったが、メーカーの海外進出で出番は減った。このため資源開発や海外事業への投資を積極的に進め、いまや約600社に及ぶ連結子会社の収益や配当収入が三菱商事の屋台骨を支えるようになった。
日本ケンタッキー・フライド・チキンを傘下に持つ日本KFCホールディングスや日本ケアサプライなど連結子会社のトップを送り出すのはもちろん、小売りや食品を担当する生活産業グループには資本関係のない企業からも、後継者となる人材を送ってほしいという要請が増えている。
「資金だけではなく人も送り込み、経営を支えるのが投資銀行との最大の違い」。同社の小林健社長は投資銀行と一線を画すのは「人財」だと断言する。
三菱商事グループの経営人材育成プログラムでは、最初の5年は取引実務やチーム力に加えて「人間力」をたたき込む。次の5年間は経営人材の概念を教え、10年目以降は社外への出向などで実践を積む。生活産業グループ最高経営責任者(CEO)オフィス室長の小川広通氏によると「30代後半から40代前半で、どこの会社でも経営を任せられる」ように育て上げるのが目標という。