マンガ部門の審査委員を務めた漫画家のすがやみつる氏によると、763作品の応募作を確認する際に、以前は実際の本を手に入れていたが、今回は電子化されたものを読むことが多かったという。メディア芸術の中では、比較的アナログな部分が多かった漫画の世界に、雑誌の電子化や漫画アプリの登場といったデジタル化の波が急速に押し寄せている現れと言えそうだ。
アニメーション部門の大賞は、ロシアのアニメーション作家、アンナ・ブタノヴァさんの心の傷に苦しむ少女が見る幻想的なビジョンを描いた「The Wound(ザ・ウーンド)」が受賞した。審査委員で、世界的なアニメーション作家の森本晃司氏は、「動きに躍動感、重さ、ワクワク感があり、見ていて気持ちが良い」「どこで映像を止めても、まるで絵本を開いたような完成度のあるレイアウトに驚かされる」と絶賛している。「作者の若干26歳という年齢が次の作品を大いに期待させる」とも話しており、上映が見逃せない。
文化庁メディア芸術祭の受賞作品展では、これらの受賞作品と審査委員会による推薦作品を集めて展示・上映する予定。会場は国立新美術館やシネマート六本木、スーパー・デラックスなど。受賞者による講演やパフォーマンス、デモンストレーションなども予定されている。