【21世紀を拓く 知の創造者たち】“老化を科学”運動機能の低下改善へ (2/5ページ)

2015.2.2 05:00

出雲貴幸さん

出雲貴幸さん【拡大】

  • 神崎範之さん
  • 泰松暁さん
  • 北原望さん

 神崎 07年に日本整形外科学会が、運動器の障害で要介護になるリスクの高い状態になることを「ロコモティブ・シンドローム」(運動器症候群)として提唱しました。これを受け今までよりも広範囲に人の運動器に働きかけるべきという考え方から「ロコモア」の研究が始まりました。私たちは、これまでの膝関節の健康だけでなく、そのまわりをサポートする筋肉にも着目しました。

 --チームの中での担当について、どのような役割なのですか

 出雲 私はマネジャーとして、「運動器」と「腸の老化」の2領域を担当しています。複数あるテーマの進捗状況を見極め、実験などで得られたデータをもとに次の研究方針を決めていくのが主たる業務です。「異質の知の交流」と表現していますが、運動器、腸の各領域の研究者だけでなく、サントリーグループの他分野の研究者を集めディスカッションする場を設け、その中から新しい気づき、価値を創出することも重要な任務と意識しています。

 神崎 食品成分の知られざる価値を見つけだし、機能を解明していく研究開発が私の役割です。成分を研究し進化させていくには、ヒトでの検証に基づくデータ収集を重ねる必要があり、日々、地道で根気が必要な作業を続けています。直近では「軟骨と筋肉に役立つ食品成分の摂取により中高年の通常歩行速度が上昇する」ことを確認し、13年の日本老年医学会学術集会で発表しました。

 泰松 研究成果で得られた知見をもとに実際の商品を作るのが私の担当です。簡単に言えば、成分を組み合わせ、飲みやすい形状にすることですが、その段階で最も神経を使い重視しているのが品質です。原材料は世界中のどこへでも出向いて自分の目で安全性を確認してきますし、国内の生産工場にも頻繁に通いチェックしています。万が一のことも絶対に許されませんから。粒の大きさ、どのような形にするかなど商品化には独自技術が集積されています。

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