東京都武蔵野市の京王線吉祥寺駅構内。切符売り場や駅事務室の上部にフロントの壁パネルが採用された【拡大】
建材メーカーのフロントは、耐候性鋼を用いた玄関ドア、内壁パネルなどのオリジナル商品「和~NAGOMI」シリーズを発売した。耐候性鋼は鉄の表面に安定さびを発生させ、内部へ浸食させない構造になっている。このため製品寿命が長くなり、資源保護や環境負荷の軽減に貢献する。ハウスメーカーや工務店などを通じて初年度は3億円の売り上げを計画し、2016年度は15億円、20年度には30億円の受注を見込んでいる。
同社は耐候性鋼製品メーカー大手として、東京都港区の商業施設「赤坂サカス」の建物を彩るサッシ部分、地下鉄副都心線渋谷駅や京王線吉祥寺駅構内の壁面などに採用されたほか、多くの施設の特殊加工耐候性鋼製品を受注してきた。
耐候性鋼は耐久性を高めるためにいろいろな合金を含み安定さびを形成しているが、同社ではこれを逆手に取って自然の風合いを生かしてデザイン化した製品が評価されている。建材として最も使われているアルミニウムは経年変化に対応できない。しかし耐候性鋼は、銅が酸化して緑青になるような味わいのある経年変化を経て、長期にわたり使用することも可能だ。
また09年施行の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」で、住宅を長期にわたり使用することによって、解体などに伴う排出を抑制し、環境負荷を低減することを目指す方針を政府が示したことも、普及への追い風となるとみられる。
和シリーズについて松川兼成会長は「資源のない日本がアルミを輸入して大量に生産し、消費・廃棄することに大きな疑問を持っていた。使い捨てにせず、長く愛着を持つことができる商品を開発したかった」と発売のきっかけについて語る。今回の和シリーズは、新素材としての耐候性鋼の素材の魅力を引き出すことで、富裕層をターゲットに普及を図る。