【シリーズ 産業未来】国際石油開発帝石(上)(4-3) (4/4ページ)

2015.3.10 05:00

13年末に完成した直江津LNG基地(新潟)。年150万トンの受け入れ能力を持つ

13年末に完成した直江津LNG基地(新潟)。年150万トンの受け入れ能力を持つ【拡大】

 なかでも力を入れるのが「地熱発電の事業化推進」。日本の地熱エネルギー資源量はインドネシア、米国に次いで世界第3位。2009年時点では、約2300万キロワットに相当する。今後は有望な再生可能エネルギーとして政府による規制緩和や支援拡充も検討されており、INPEXとしても、積極的に事業化を目指していく方針だ。

 11年には出光興産と、北海道の阿女鱒(あめます)岳地域(赤井川村、札幌市)と秋田県の小安(おやす)地域(湯沢市)で、地熱発電所建設に向けた第1段階の共同調査を開始した。13年からは出光興産と三井石油開発、INPEXの3社で、1700~2200メートルの構造試錐井掘削により地質構造や地下の詳細な温度、透水性などを調べる第2段階の調査を開始し、両地域ともに地熱発電が可能な200℃以上の地下温度が確認された。

 引き続き両地域においては構造試錐井の掘削調査を継続し、それらの結果を評価したうえで試験井の掘削や環境影響評価といった第3段階の調査への移行を検討することとしている。

 地熱発電を強化する理由を北村社長は「地下の資源を開発し見極めるという、石油・天然ガス事業の技術と類似している」と説明する。これまで培ってきた石油・天然ガスの探鉱や掘削といった技術を再生可能エネルギー事業にも生かそうという考えだ。

 石油や天然ガスを核に総合エネルギー企業へ、どう飛躍できるのか。「INPEX中長期ビジョン」で掲げる3つの成長事業の成否が、そのカギを握っている。

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