被災地を悩ませる“復興格差” 建設・製造は進む一方、人手不足で水産苦戦 (2/4ページ)

2015.3.12 07:06

東日本大震災から4年、雪が積もるかさ上げ工事の現場前を歩く人々=11日朝、宮城県女川町

東日本大震災から4年、雪が積もるかさ上げ工事の現場前を歩く人々=11日朝、宮城県女川町【拡大】

  • 打ち上げられた漁船の解体工事=福島県

 「きつい立ち仕事というイメージや高齢化に被災が重なり、人手不足が深刻になった。外国人技能実習生を採用するにも限界がある」。水産加工の苦境を、岩手県宮古市の佐藤日出海産業振興部長はこう解説する。

 得意先を失い、建設業などに人材が流れる悪循環。施設復旧のための補助金交付先の経営状況を東北経済産業局が調べた結果、昨年6月現在で震災前の水準以上に売り上げが回復したと答えた割合は、水産・食品加工業ではわずか19.4%だった。復興事業で繁忙な建設業が約7割に上ったのとは対照的になっている。

 水産業が活気を欠くのは人手不足だけではない。「いくら安全だとPRしても消費者に手に取ってもらいづらい」。岩手県のワカメ養殖漁業者は原発事故の風評被害に頭を抱える。

 ただ、生産から加工、販売までを担い、ブランド産品を生む「6次産業化」には光が差し始めた。企業の参入を促す「水産業復興特区」の宮城県石巻市・桃浦地区で、カキ養殖から加工、販売を行う「桃浦かき生産者合同会社」は2014年度、初めて収穫量が目標を超えそうで、代表社員の大山勝幸さん(68)は「軌道に乗りつつある」と目を細める。

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