トヨタは下請けメーカーに年2回行ってきた値下げ要求を14年度下期に続き、15年度上期も見送った。好業績の恩恵を中小の取引先にも波及させ賃上げなどの原資に充ててもらう狙いがある。
賃上げを決めた西尾市の経営者は「値下げ額は年間で100万円程度になるので、見送りにホッとした」と胸をなで下ろす。ただ、値下げ要求の見送りは他の自動車大手には広がっておらず、「トヨタだけでは意味がない」(愛知県の3次下請けの経営者)との声も少なくない。
大手の春闘交渉が大詰めを迎えた12日には、菅義偉(すが・よしひで)官房長官が「昨年12月の政労使会議で、政府として、企業収益が賃金や下請けの設備投資に結びつくようにしてほしいとお願いしている」と強調し、大企業と中小・零細企業間で広がる格差の是正を改めて促した。
「小さなネジが一本なくても良い車はできない」(中小企業の組合幹部)とされる自動車業界。今春闘が「人への投資」を業界の裾野にまで広めるきっかけとなるのか。日本の製造業が競争力の強化に前進できるかどうかを占う春闘になりそうだ。(松岡朋枝)