「なんだか似てきたとよく言われる」-。シャープ関係者がこうこぼした。どことかというと、4月に全社員がパナソニックに転籍する三洋電機だ。シャープは、資本支援を要請に向け主力取引銀行と交渉に入ったが、三洋も3千億円の出資の見返りに普通株換算で議決権の約7割を金融3社に握られ、経営の自由度を奪われていった。三洋はその後、パナソニックに買収され、事業売却や人材流出などが相次ぎ、事実上“消滅”する。再び経営危機に陥り、金融への依存度が高まるシャープの運命はどこに向かうのだろうか。(松岡達郎)
窮余の策
「厳しい財務状況だと強い危機意識がある」
2月3日、平成26年4~12月期連結決算を発表した記者会見で、シャープの高橋興三社長は厳しい表情でこう語った。
シャープが主力取引先のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に資本支援を要請したのは、業績の悪化と不振事業の損失処理に加え、抜本的な構造改革に踏み切るため財務基盤を強化しておく必要に迫られているからだ。
太陽電池やテレビ事業の不振に加え、主力の液晶パネル事業も中国市場での競争激化の影響で失速。27年3月期の連結最終損益の予想を従来の300億円の黒字から300億円の赤字に下方修正せざるを得なかった。