不採算事業の生産設備などの減損処理に迫られるうえ、業績回復に向けた抜本的な構造改革に踏み込むことを検討中で、工場の縮小や閉鎖などの費用がかかるとみられ、最終赤字は1千億~2千億円に膨らむ可能性もある。
シャープの26年末の有利子負債は約1兆円。一時は6%まで劣化した自己資本比率は25年秋の公募増資で1400億円を調達したことで10%に回復したが、製造業で健全とされる20%の水準にはほど遠い。
このため主力取引2行からの融資約6千億円のうち1500億円規模を議決権のない優先株などに振り替えてもらう「デット・エクイティブ・スワップ(DES)」の要請に向け交渉を始めた。ただ、「株価が下がれば本来なら返ってくる金額が目減りする。借金は利子をつけて返済するものと考えれば、とんでもないと言われる」(関係者)という。
DES(債務の株式化)は、リコール隠し問題で経営危機に陥った三菱自動車工業や、海外事業の不振などで経営が悪化した双日ホールディングス(HD)で活用された。財務の改善につながるが、債務超過を回避するための窮余の策だ。シャープがそこまで追い込まれているといえる。