一方、マクドナルドはわずか30秒のCMのために450万ドル(約5億3千万円)を支払った。前代未聞の無料キャンペーンのために目の飛び出るような広告料を支払った行為は、一見理解に苦しみそうだ。
だが、外食関係者は「そこまで追い詰められていることの裏返しだ」とマクドナルドの苦境を指摘する。
マクドナルドの2月の世界の既存店売上高は前年同月比1・7%減となり9カ月連続で前年を下回った。日本にいたっては28・7%減の大幅減。平成26年12月期連結決算は実に41年ぶりの営業赤字に転落し、最終損益も11年ぶりの赤字という惨憺たるありさまだ。
業績悪化の最大の理由は調達先の中国企業が賞味期限切れ鶏肉を使用した問題とされるが、それだけではない。日本だけでなく欧米でも健康志向が高まり、ファストフードの代表格であるマクドナルドが消費者から敬遠され始めている。
世間を驚かせた「支払いは愛で」キャンペーンも、なんとか消費者のイメージを挽回し、業績反転に結びつけたい思惑からだ。