原発専業の日本原子力発電が2016年度に3年ぶりに新卒採用を復活させることが5日、分かった。廃炉請負事業や海外展開の強化など事業拡大を見据え、技術職を中心に「若干名」の採用を計画する。東北電力も東日本大震災以後初めて採用計画を増やす。原発の稼働停止に伴う業績悪化で電力各社は新卒採用を抑制してきたが、新たな成長を目指し採用を増やす動きが一部で出てきた。
原電の新卒採用は13年度(17人)以来。保有する3基の原発の再稼働の見通しが立たないため収益改善が見込めず、採用を見送ってきた。同社は17年度末までに持ち株会社に移行する計画で、事業の多角化を見据え新卒の採用に踏み切る。
東北電は16年度の電力小売りの全面自由化に備え、省エネを支援するサービスの充実など、事業強化を目指し採用を増やす。
一方、東京電力は16年度の新卒採用を、前年度実績比で16%減の550人程度に抑える。また、北海道電力や中国電力、四国電力、九州電力なども16年度は前年度と同程度の採用を計画する。長引く原発の稼働停止で電力各社は本格的な収益改善には至っておらず、適正規模の人員を確保する狙いだ。