新日鉄住金は7日、昨年9月に名古屋製鉄所(愛知県東海市)で起きた火災事故の原因と再発防止策の報告書をまとめた。燃料の石炭の自己発熱による可燃性ガス発生などが原因と推定し、管理基準の厳格化や散水設備の新設といった防止策を盛り込んだ。同社は今年度から設備更新や人材育成への投資も強化し、昨年相次いだ名古屋製鉄所の事故からの信頼回復に道筋を付けたい考えだ。
進藤孝生社長は同日、東海市の鈴木淳雄市長に報告書を提出し、「地域の皆さまに大変ご迷惑をおかけした。改めて心からおわびを申し上げる」と述べた。
事故は、昨年9月3日に石炭を蒸し焼きにして鉄鉱石を溶かす燃料とする第1コークス炉で起き、建屋外などにいた従業員15人が重軽傷を負った。
報告書によると、第1コークス炉は石炭を製鉄所の原則より1日長い約4日間にわたり貯蔵。石炭が酸化で自己発熱したほか、事前処理で高温になった石炭が混入した恐れもあり、一酸化炭素(CO)など可燃性ガスが発生した。
事故を受け、名古屋製鉄所は一定の石炭は3日間以内に貯蔵槽から出すことを徹底。事前処理で高温になった石炭は分別して冷却する「分離槽」や、炉内に遠隔操作の散水設備などを新設して再発防止を目指す。