巨大地震などで通信インフラが途絶えた場合を想定して、基地局を経由しなくても文章や画像をやりとりできる端末機器を、総務省所管の研究機関「情報通信研究機構」(NICT)が開発したことが分かった。大規模災害で基地局が壊れたり、停電で使えなくなったりした場合でも安否確認が可能で、被災地の通信手段を確保する新技術として期待できる。スマートフォンやタブレットなどへの導入を視野に製造会社と交渉を進め、数年後の市販化を目指す。
携帯電話やスマホは混線を防ぐため、通常は端末同士で音声や文章、画像などを直接、送受信できない。通信は基地局がいったん受信し、宛先の携帯などに送信している。
今回の機器は、NICTのワイヤレスネットワーク研究所(神奈川県)の三浦龍室長らが開発。最大半径300メートルの範囲で、直接、送受信が行える。範囲内にある各機器で送信するタイミングを自動的にずらすことで、多数の端末から通信を飛ばしても混線が発生しないように工夫している。
各機器にはそれぞれ固有の番号が割り振られ、利用者は、あらかじめ送受信する相手の端末の番号を登録しておく仕組み。市町村などの役所のシステムに住民の端末番号を登録することで、大規模災害時には、安否確認のほか、交通や危険情報などの連絡網としての活用が期待できる。