エネルギー・環境が専門の日本総合研究所の佐々木努・総合研究部門マネジャーも「企業の適応は、まだCSR(企業の社会的責任)の取り組みの中でひもづけられている段階」とみる。ただ、今後の見通しについては「機関投資家から『温暖化の影響はビジネスリスク』との要求が強まっており、中長期的には、適応ビジネスの発信が重要」と、株式市場からの“外圧”の存在を指摘する。
政府が今夏、適応計画を策定すると、地方自治体は任意ではあるが、都道府県レベルで適応計画の策定に動く。環境省の竹本室長は「政策と予算に裏付けられた国、地方の動きは、やがて民間へ波及し、適応ビジネスを加速させるはず」と期待を込める。(松田宗弘)
【用語解説】地球温暖化への適応
温暖化でもたらされる自然生態系や人間社会への悪影響を減らすこと。その範囲は、港湾・河川・下水対策から農産物の品種改良、感染症や熱中症対策、有害鳥獣の駆除など広範だ。従来は、温室効果ガスを削減する「緩和」が対策の中心だったが、それだけでは温暖化が避けられないというのが国際的な認識になっている。EU(欧州連合)のうち英、独、仏など14カ国や米国、カナダ、豪州、中国、韓国などが適応計画・戦略を策定済み。洪水の被害が多い英国のように、国内法に基づく法定計画に格上げし、実効性を担保している国もある。