ゆうちょ銀行と三井住友信託銀行、野村ホールディングスが共同出資して設立する新会社は、グループ3社の上場を今秋に控えた日本郵政にとって、収益力強化に向けた有力なカードとなる。政府が少額投資非課税制度(NISA)などを通じて「貯蓄から投資へ」の流れを促す中、個人向け資産運用事業に参入することで、上場後の明確な成長路線を打ち出す。
今回の提携は、全国2万4千の郵便局ネットワークを生かし、販売拠点として活用する狙いだ。日本郵政はこれまで、アメリカンファミリー生命保険のがん保険販売や、米IBM、アップルと連携した高齢者向けサービス開発など、ネットワークを活用した提携戦略を進めてきた。
新会社を通じて郵便局が取り扱う金融商品の幅が広がれば、日本郵便の販売手数料収入も増加が見込める。金融2社と比べ収益力が劣る日本郵便の経営基盤強化にもつながる。
ゆうちょ銀の収益力強化に向け、郵便局の新たな利活用を推進する自民党の議員連盟は11日、日本郵政グループの金融2社の貯金・加入限度額引き上げを求める決議を採択。自民党は限度額見直しの方向性を月内に決める見通しだ。
ゆうちょ銀の貯金残高は約178兆円に上り、メガバンクをしのぐ。以前から「民業圧迫」を懸念する声が多いが、今回の3社提携については「バランスシートを大きく膨らませず、販売手数料で稼ぐ望ましいあり方」(金融庁幹部)と評価する声も聞かれる。
ゆうちょ銀が新会社の議決権50%以上を握る場合、郵政民営化委員会の審議や金融庁、総務省の認可が必要となる。手続きは申請後、数カ月以内に完了する見込みだという。
日本郵政の西室泰三社長は「地銀や信用金庫、信用組合との連携を進めなくてはならない」としており、新会社が民間金融機関とのさらなる連携拡大の糸口となる可能性もある。(山沢義徳)