那覇空港に売り込んだ丹青社の野本康仁・企画開発統括部開発プロデューサーは「和のテイストを盛り込んだデザインとした。部屋に入るだけで日本らしさ、おもてなしを感じるはず」と説明、政府が進める観光立国を意識した作りに自信を示す。
連携したハラル・ジャパン協会の佐久間朋宏代表理事は「ムスリムにとって重要なのは食とお祈り。礼拝室はムスリムを呼び込むツールになる。こうした場所があることをもっと周知すべきだ」と設置の必要性を強調。同時に地元資源をアピールすれば観光地巡りや名産品購入を促し地域振興につながる。
礼拝室は発注から最短1.5カ月、組み立ては2日で済む。場所の変更(リユース)も容易で、清めるために必要な水回り設備が整っていなくても設置できるように給排水システムを用意した。難しいムスリム対応のおもてなし研修は同協会が受け持つ。設置費用は500万円程度という。
和食の世界遺産登録、20年の東京五輪に加え、LCCの就航拡大、円安、ビザ発給要件の緩和、消費税免税品の拡大と訪日外国人誘致に追い風が吹く。14年にはマレーシアから25万人、インドネシアから16万人が日本を訪れた。両国ともムスリムが多く、20年には合わせて200万人を突破するとの試算もある。同協会によると、成田や羽田、関西、中部など主要空港、酒々井(しすい)プレミアム・アウトレット(千葉県酒々井町)、ラオックス秋葉原本店(東京都千代田区)、なんばCITY(大阪市中央区)といった商業施設のほか、レストランやホテルなどに礼拝室が開設されている。