ビジネスチャンスを逃さないためにも受け入れ態勢の強化は待ったなしだが、礼拝室の設置に「専用区画を設けるのは難しい」「作ったら利用するのか」「管理が大変」などと消極的な声も少なくない。イスラム教を正しく理解していないことも大きな理由の一つだ。
評判は上々
そこで丹青社は14年9月に開催された日本観光の見本市「ツーリズムEXPOジャパン」に参考展示。訪れたインドネシアからの留学生は「和風がきれい。いつもの礼拝室と違うデザインも気にならない」と満足したようで、期間中4回もお祈りに訪れた。礼拝に使ってみたイラン人夫婦からも「畳や木の香りは好き」と好評だった。
礼拝したムスリムからの声に手応えを感じたが、「宗教ごとは怖い。海外に行って現地ニーズを調べて、有識者にも確認を取った」(同協会の大竹啓裕副理事長)うえで商品化した。丹青社は今後3年程度で全国47都道府県にそれぞれ1カ所程度の設置を目指す。
百貨店では、高島屋が昨年9月、新宿店に「祈祷室」を設置した。ムスリムを含め外国人客に快適な買い物環境を提供するため、11階に20平方メートルの部屋を設けた。月100組程度が利用しているという。