旭化成が昨年11月に量産を始めた水質検査用の深紫外LED【拡大】
深紫外LEDの潜在市場は巨大で、水の浄化だけで5億ドル(約620億円)に達するといわれる。それ以外にも、空気清浄機や掃除機への搭載、皮膚病の治療、病院内の感染防止など、想定される利用シーンは多い。DNAを検出したり、工場で樹脂を硬化させるのにも役立つとみられている。
深紫外LEDは発光効率と出力を両立させるのが難しい。だが旭化成は、スマートフォンに搭載し、歩行者ナビゲーションに使う磁気センサーの開発を通じ、LED開発につながる半導体の知見を蓄えていた。
それに加えて、4年前に半導体の基板製造を行う米ベンチャーのクリスタル・アイ・エスを2011年に買収したことが、製品化で一番乗りを果たす決め手になった。
LEDは基板材料に性能が大きく左右される。基板材料に関する豊富なノウハウを持つ米企業と、生産技術や品質管理に長じ、製品に仕上げるのが得意な日本の企業が、互いの技術をスムーズに融合できた結果だという。
現在の製品は水質検査装置用だが、秋にもより出力が高い殺菌用の新製品投入を予定する。