三井化学の樹脂材料「アペル」は粒状のペレットにして供給している【拡大】
事業を率いる機能樹脂事業本部機能性ポリマー事業部の松永雅美課長は「外気にさらされるため、直射日光や熱に耐え、黄ばみや変形を防ぐ必要がある」と説明する。2、3年で買い替えるスマホと違い、長寿命も必須条件だ。
実際、最初にスマホ用を持ち込んだ際は、耐熱性の不足を指摘された。「やっぱり専用設計でないとダメでしたね」。三井化学高分子材料研究所の添田泰之主席研究員には、半ば不合格を予想できていた。
すぐに自動車用の開発に着手し、2013年秋に初の材料を試作した。ところが、レンズメーカーの試験結果はまたもや不合格。熱には強くなったが、今度は高温高湿下での性能を示す耐湿熱性が低下してしまっていたのだ。
実使用に差し支えない範囲の低下とはいえ、カメラメーカーから厳しい品質要求を突きつけられるレンズメーカーとしても看過できない。
「一方の性能が高まれば、別の性能が落ちる。ちょっとした(材料の)バランスが狂うだけでそうなってしまう」。添田氏は予期せぬ事態に頭を悩ませた。