毎年6月に開かれる東京商工会議所の会員企業を対象とした高校との就職情報面接会=東京都江戸川区【拡大】
高校卒業後、都内の建設会社に就職した男性(20)は「1社しか受けられないため、落ちたときのことを考えると夜も眠れない日が続いた」と、自身の就職活動を振り返った。通っていた高校では、「残念ながら志望していた会社からの内定がもらえず、その後の就職活動を諦めた人もいる」という。
高校生の就職活動について、都内にある中堅スーパーの担当者は「大学生が何社も応募できるのに、高校生は1社しか応募できないのは、就職協定で決められていることとはいえ、不公平な気がする」と話す。
もう一つの問題点は、面接で質問できることが限られることだ。東京労働局が企業向けに配布している「新卒者募集のために」と題した冊子によると、「尊敬する人は誰か」「愛読書は何か」といった質問は、「就職差別につながる恐れがある」として、高校生の採用試験では聞いてはいけないこととしている。
ここ数年、毎年高卒者を数人採用している水道工事業、木村工業(東京都大田区)で採用を担当する森山勧取締役は「聞いてはいけないことが多すぎる。せめて自宅から何分で出社できるかは聞きたい」と、打ち明ける。