毎年6月に開かれる東京商工会議所の会員企業を対象とした高校との就職情報面接会=東京都江戸川区【拡大】
建設業や工事業は自治体などの要請により、災害復旧工事や除雪などの作業に急遽(きゅうきょ)対応しないといけないケースが多いため、「できるだけ会社の近くに住んでいる人の方がありがたい」(森山取締役)という。
また、大学生の採用試験では、会社が指定するエントリーシート(志望書)の提出が一般的だが、高卒見込み者の場合は「全国高等学校統一応募用紙」の使用が義務付けられている。森山取締役は「出席日数と欠席日数の欄を見て、どれだけ真面目に物事に取り組んでいるのかをみる」と話す。
高校の就職指導担当教員は、企業の面接を受けた生徒から質問の内容を事細かに聞く。もし、思想信条に関する質問がされた場合、高校からハローワーク(公共職業安定所)に通報されるケースもある。結果として、企業が「高校生の採用は面倒」と感じ、採用を敬遠する一因となっているようだ。
若年層の労働問題に詳しい慶応大商学部の樋口美雄教授は「高校生など未成年者の場合、大学生と違って社会観や労働観が十分に確立されているとはいえない」として、高卒見込み者と大卒見込み者との間で、採用活動に関する学校側と企業側との就職協定が異なるのはやむを得ないとの見方を示した。