大阪市阿倍野区のシャープ本社【拡大】
創業精神に影響も
さらに欧米ではテレビ工場を売却し、生産・販売事業から撤退した。売却先メーカーに「アクオス」のブランドを貸与し、代わりにブランド使用料を受け取るビジネスに転換した。欧米ではアクオスブランドの液晶テレビが売られているが、既にシャープの製品ではない。
そして中期経営計画の柱と位置付けられた希望退職には3234人が応募、目標の3500規模に届かなかったとはいえ、28年3月期に予定した約150億円の人件費削減は確保した。シャープは戦後の不況時に人員削減を銀行に迫られた際、早川氏が「社員の首を切るぐらいなら会社を解散したほうがいい」との意向で、この思いを伝え聞いた労働組合が自主的に希望退職を募った経緯がある。このため雇用を守る文化が根深かった。
希望退職の断行に対し、社内には「『会社の発展と(会社に働く)一人一人の幸せとの一致をはかる』とする経営理念に反しているではないか」との声も上がる。背景には、高橋社長は就任前の会見で「新生シャープはどういう会社か」と問われ、早川氏の言葉をもとにつくられた経営理念と経営信条を掲げ「全部正しい。すばらしい創業精神があったのに」と語ったことがある。このため社内には「早川氏の伝道師を公言していた高橋社長があっさり人員削減に踏み切るとは」との失望感がにじむ。