ひずみの補正のため、現在では、スーパーコンピューターと同レベルの処理能力を持つLSI(大規模集積回路)を用いた「デジタルコヒーレント技術」を使って処理している。ただ、今後も情報量は増大が見込まれる中、デジタルコヒーレント技術による補正では、情報量の増大に比例して消費電力やコストが増大する欠点があるのに加えて、情報量の大容量化や長距離伝送への対応にも限界があった。
電力消費量10分の1以下
今回の新技術は、一定の方向性を持って生じるという情報のひずみを逆方向に戻すことで、ひずみを補正させる「位相共役変換」と呼ばれる技術で、周期的分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)と呼ばれる人工的に製造した結晶を2つ使った新開発の機器を用いるのが特徴だ。
この機器を用いることにより、用いなかった場合に比べ、信号情報のひずみを半減することができ、今後の情報量の大容量化や長距離伝送にも対応できるようになるという。デジタルコヒーレント技術による補正と合わせて、同機器を使うことで、デジタル処理に伴う電力消費量を最低でも10分の1以下に減らせる。また、同機器の価格は1台100万円ほどなので、コスト削減効果も大きい。