「位相共役変換」技術は、1970年代からある技術だったが、変換前後で情報量が大幅に減ってしまうなどの欠点があるため、実用には適していなかった。今回、NTTがこうした欠点を克服して実用化に道筋をつけられたのは、PPLNを2つ用いるという「コロンブスの卵的発想」(竹ノ内氏)で新しい機器を開発したためだったという。
NTTは、従来のデジタルコヒーレント技術と今回の技術を組み合わせて、光ファイバーのひずみ補正に用いることで、情報伝達の大容量化や長距離ネットワークの実現を目指す。今回の技術は9月27日からスペインのバレンシアで開催されている欧州最大の光通信国際会議(ECOC2015)で発表された。
位相共役変換技術は、補正を逆戻しする技術のため、時間を遡(さかのぼ)るように見えることから「時間反転波」とも呼ばれており、インターネット上では「タイムマシンに使えるのでは?」という声が出るなど、技術自体の専門性と合わせて「難しい」という声があふれている。(大坪玲央)