レクサスがこだわる『唯一無二』のデザイン
レクサスが次の10年で目指すのが、「感動や驚きのあるブランドを作ること」だ。成瀬氏は商品面でユーザーに「感動」を与えるポイントとして、「デザイン」「走り」「驚き」「高品質」の4つを挙げる。
「レクサス代表の福市(得雄氏)は、デザイナー出身です。彼がいつも口にするのが『唯一無二』。ほかと似ているぐらいなら出さないほうがいい、と。低重心でクールな、レクサスらしいデザインを作り込むことに徹しています」
「驚き」については、いかにも日本発のプレミアムブランドらしい考え方だ。「ぜひ日本の匠の技に注目して欲しいですね。一部車種に採用している縞杢(しまもく)の木目ステアリングは、1本を作るのに20工程、約5週間を要します。丸みを帯びたハンドルに、真っ直ぐの横縞模様を弛ませることなく貼り付ける。これは相当難しい技術です」。経験豊富な職人が、0.2ミリの薄さにスライスした横縞模様のシートを、湾曲したステアリングにシワひとつ作らず接着していくのだ。
感動や驚きの提供は、もちろんマーケティング面でも意識している。宙に浮くスケートボードが人を乗せてパーク内を滑るテレビCMには、多くの人が驚嘆したはずだ。
流通面ではどんなサプライズを見せてくれるのだろうか。成瀬氏は「もちろん店舗に来てくださった方にも感動や驚きを届けたい。次の10年で『楽しいね』と言ってもらえる店舗を作っていきたいですね」と語る。