【世界へテークオフ 国産ジェットの挑戦】(下)
高コスト体質と不十分なサービス是正
伊勢湾に面した木曽川の河口付近にある大起産業の工場(三重県木曽岬町)。ドリルの大きな音が響き渡る。ここで、MRJ(三菱リージョナルジェット)の中胴前部や後部のドア周りの構造物が造られている。
同社の小森禎和は11日、MRJの初飛行の様子を自宅のテレビで娘と観賞した。「お父さんも一緒に造ったんだよ」と話しかけると、娘は笑顔でほほ笑んだ。
三菱重工業は来年10月から中小企業10社を集め、松阪工場(同県松阪市)でMRJの部品を共同生産する。
一貫生産でコスト競争力を高めるのが狙いだ。中胴前部の組み立てを手掛けるテックササキ(名古屋市熱田区)専務の大西清幸は「自分たちで生産管理も行い、納期短縮やコスト削減に貢献し、量産を支えたい」と力強く話す。