本格的な冬の到来を前に、衣食住の工夫で職場や家庭での暖房使用を控えるウォームビズの関連商戦が熱を帯びている。百貨店やアパレルメーカーが、新機能を盛り込んだ衣料品を相次ぎ発売。今年は高額商品の投入も目立つ。
イオンは今年度に、ウォームビズ関連で前年同期比1割増の販売を目指している。今年は女性用肌着の新商品「トップバリュ ピースフィット スキンケア」を投入。水素イオン指数をコントロールして生地表面を弱酸性から中性に保つため、肌にやさしいのが売りで、タンクトップ(税込み1706円)など3商品を用意した。
ウォームビズ開始当初、各社はコートなどのアウターを売れ筋の中心と予想した。しかし、実際に売れているのは価格が手ごろな肌着類で、かえってアウターの売れ行きを鈍らせてしまった面がある。このため最近は、肌着を含めて高額でも売れる商品づくりや、トータルコーディネートの提案で収益拡大を図る動きが目立つ。
高島屋が発売した「カシミヤ・シルク肌着」は、税込み8500~1万6200円と高額だが、高級天然素材の使用や国内生産で値ごろ感をアピール。洗濯機で洗えるなど実用性も重視した。
三陽商会は、高級紳士服ブランド「マッキントッシュ フィロソフィー トロッターシリーズ」に、吸湿発熱機能を備え、体に吸い付く感覚で暖かく着られるジャージー素材のジャケット(税別4万円)を追加。合わせて3種類のニットベスト(1万4千~6千円)も用意し、「トータルコーディネートの提案で需要を取り込む」と意欲をみせる。
カジュアル衣料のユニクロも、発熱保温機能を備えた素材「ヒートテック」を使った商品を、過去最多だった平成25年より3割多い320種類に増やし、肌着のほかにセーターやジーンズを展開。複数の商品購入を促したい考えだ。
消費税率引き上げなどで消費者が生活防衛意識を強める中、衣料品販売の低迷は今後も続くとみられる。ただ、環境省が昨年行った調査によると、ウォームビズの認知度は70・8%とクールビズの92・5%より低く、需要開拓の余地はある。
各社には、「着こなす喜び」や価格以外の価値訴求がさらに求められているといえそうだ。