光だけを反射して熱は後方に透過させる反射鏡にフライアイレンズ、デンタルミラー。世界シェアトップの3つの主力製品で勝負しながら、回路基板などを作るためのガラスフリット(粉末)や、高反射率の銀ミラーほか、新規事業に軸足を移す準備にも余念がない。速度やカーナビ情報をフロントガラスに映し出す自動車運転支援システム「自動車ヘッドアップディスプレイ(HUD)」向け部品の量産もその一環で、反射鏡技術の応用だ。
警察幹部から3代目社長への転身がマスコミから取り上げられてきた。「おやじを超えようと肩に力が入ったときもあったが、今は自然体」と大人(たいじん)の風格も漂う。
「『岡本硝子がなくちゃいかん』と言ってくださるお客さまが将来多くなるか、が勝負です」
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【プロフィル】岡本毅
おかもと・つよし 1980年警察庁入庁後、北海道警捜査2課長や外務省香港総領事館領事、埼玉県警本部刑事部長などを経て95年社長。「目標は高く、達成の方策を考えよう」と社員の自主性を貴ぶ、厳しくも愛ある現場主義者。60歳。東京都出身。
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<企業プロフィル>
1928年創業。84年にガラスにコーティングできる機械を導入し高付加価値ガラス製品で成長。研究開発から製造まで一貫工程の開発型メーカーとして株式上場も。連結会社は新潟岡本硝子、中国1、台湾2、自動車HUD向けレンズ生産の持ち分会社1。深海用無人探査機江戸っ子1号プロジェクトでは800気圧に耐えるガラス球を開発、11月には耐圧1200気圧球の完成も発表し技術力を証明。