【高論卓説】失態続きの東芝 室町社長は豹変できるのか (2/2ページ)

2015.12.2 05:00

 前の歴代3社長が引責辞任して、就任した室町正志東芝社長は、大胆だった福原社長とは対照的にオーソドックスである。

 11月7日、東芝は役員責任調査委員会の報告を受けて歴代3社長を含む5人に、合計3億円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。同じ日に、第2四半期決算を発表したが、記者会見は財務担当役員に任せて室町社長は現れなかった。

 自身の責任などについていろいろただされると予想したからだろう。財務担当役員も訴訟に関する質問には答える権限がないとして「広報に聞いて」の一点張りだった。

 その後、米国の原子力事業子会社ウェスチングハウスの減損処理について金額を公表しなかったら、東京証券取引所から適時開示基準に反するとの注意を受けた。遅まきながら公表し、11月27日に室町社長が記者会見に臨み詳細を説明した。冒頭、消極的な広報姿勢を謝罪し、「今後は私が先頭に立って、適時適切な開示に努める」と述べた。

 新規まき直しのまたとない機会を逃したのは否めない。生え抜きの経営者である室町社長は、もともと不正会計の責任の有無をマスコミから問われている。慎重に事を運びたいのは、普通の神経の持ち主ならばあり得る。だが危機的状況でトップ経営者には許されない。いかなる難局もしれっと正面突破する胆力が求められる。

 「君子豹変(ひょうへん)」という言葉のように、室町社長はこれから本当に変われるのだろうか。それを見極めるのは、前田取締役会議長ら社外取締役の責任である。

                   ◇

【プロフィル】森一夫

 もり・かずお ジャーナリスト 早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は「日本の経営」(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。65歳。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。