◆消費者目線で発想
消費者のニーズに合わせた商品開発にも取り組む。13年5月に発売し、好評を博したパイ菓子「むらさきつくば」は、つくば市にある洋菓子店とのコラボレーションによって生み出された。しょうゆの良さを見直してもらおうと思っていたとき、蔵の見学に来た若い主婦の声がヒントになったという。
蔵の見学は先代から実施しているもので、年間4000人ほどが訪れる。見学者の対応は、海外出張などがない限り柴沼さんが担当している。客の生の声を聞き、同じ目線に立てる貴重な場所と考えているからだ。
「お客さまが喜ぶ商品を作ることを心掛けているし、商品のファンを増やしたい。その思いは自分の中で崩さないようにしている」
柴沼さんには今、思い描いているプランがある。例えば漁業従事者と連携し、とれたての魚と自社の新鮮なしょうゆを直接、消費者に届ける仕組みだ。これを農家や養鶏業者に当てはめれば、収穫したばかりのコメ、産みたての卵としょうゆを組み合わせた、鮮度の高い「卵かけごはん」を食卓に提供することができる。
「お客さまはもちろん、われわれも他業種も喜ぶような仕事をしていきたい」
時代の流れとともに改善できることは改善し、土浦市の一企業として国内外に商品の価値を伝えていく。若き18代目は「老舗」の進化に情熱を注ぐ。(海老原由紀)
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