知人の大阪在住のデザイナーが手がけるブランドは逆だった。数年前に大企業から離れ、小さな会社を立ち上げた。「これで、気兼ねなく好きな生地を買い、私のこだわりを詰め込んだ服が作れる。デザイナーとして、モノを作る人間としてこんな幸せなことはない」と話している。企業の中のデザイナーであったときはコストや売れ筋を常に気にしなければならなかったという。今は生産数は極少数のため大きくもうけることはできないが、まずまず順調な経営状態とのこと。これぞモノづくりの神髄かと思った。
「下町ロケット」の技術者魂とファッションデザイナーは共通する?
フィットや遊心クリエイションの末路を見て、知人のデザイナーの話を聞いて、業界は違うがテレビドラマにもなった池井戸潤さんの小説「下町ロケット」が重なった。ロケット部品の特許を持つ中小企業の町工場が、特許の売却や(吸収)合併話を拒み、幾多の苦難を乗り越え名実ともに得てゆく-というストーリー。大企業を向こうにまわしてもひるまず、「モノづくり」にかける町工場社長や従業員らの情熱が感動を呼んでいる。