売り上げの9割以上を海外が占めている。代理店を介した販売に加え、平成16年にはインターネット上に外国向けの直販サイトを開設した。豊富なラインアップで、すでに製造中止となっているレコード針にも対応したことで、ネットを通じ世界中に評判が広がったのだ。
仲川幸宏専務は「アフガニスタンなどからも注文がある。製品を送る際に地元郵便局でとても驚かれた」と明かす。
「JICO」の名声は世界でも知る人ぞ知る存在になり、発送先は約200の国・地域に及んでいる。
そんな世界から注文が寄せられるレコード針は工程の多くが手作業だ。工業用ダイヤモンドを仕込んだ針先は直径0・25ミリ、長さ0・6ミリのサイズだが、女性工員らがルーペなどを使いながら組み立てている。
欲しい人がいる限り
同社の前身は、明治6年創業の縫い針工場だ。蓄音機用の針製造を経て、昭和41年にレコード針に参入した。昭和40~50年代は「SWING(スウィング)」というブランド名で、レコード店のカウンターに置けば瞬く間に売れたという。