■飲み比べ提案、差別化に成功
サッポロビールの第3のビール「ホワイトベルグ」がインターネット通販を中心に好調だ。ベルギー産ビール風味の華やかな香りと爽やかな味わいを実現。クラフトビール(地ビール)のヒットを追い風に、「自分だけのビール」を探し求める若者や女性らに支持されている。「ビールの飲み比べ」という新しい楽しみ方を提案したことが差別化の要因となった。
「ネット通販での売れ方は店頭と全く違うんだ」。2015年6月、マーケティング担当のブランド戦略部サッポロブランドグループの斎藤愛子主任は、販売データを見て驚きの声を上げた。「有名ブランドを1円でも安く求める」という、従来のネット通販の消費者層と異なる特徴が浮かび上がったからだ。
ネット通販サイトでは、アマゾンで第3のビール売れ筋ランキングトップ3(15年12月16日調べ)のほか、LOHACO(ロハコ)のビールテイスト6缶パック売上数量でも第1位になった。データからは、ホワイトベルグをワインや缶チューハイなど違うカテゴリーの酒と一緒に購入する人が多いという結果も分かった。「消費者の飲み比べに対するニーズはやはり高いんだ」。斎藤さんら女性中心のマーケティング担当は、ホワイトベルグのシリーズ展開に自信を深めた。
14年5月に発売されたベルギーのホワイトビールタイプのホワイトベルグは「あえて味を変えない」戦略を採用している。第3のビールでは、半年から1年おきに味のリニューアルを行うのが一般的で異例だ。
その理由の一つは、定期的に行われている顧客調査の結果にある。ホワイトベルグに対する味覚評価が高い水準でとどまっており、現在の味に対する支持の高さがうかがえたからだ。