開発チームにとって、ベルギービールらしさを実現しつつ、日本人が好む味わいに工夫することは初めての経験。「本格感や特徴をはっきり出そうとすると、ビールの初心者には飲みにくい味わいになってしまう。本格感を出しつつも、ユーザーが飲みやすい味を出すのが難しかった」(斎藤さん)。ホワイトベルグの開発では、麦やホップ以外のこれまでビールでは一般的でない素材を採用。●田さんら開発担当は、調達方法や品質、安全性を維持するためのスキーム作りに腐心した。ブラウンベルグの開発では、3種類のホップの選定と配合割合を決めるのが難しかった。コンセプトを決めてから、それにふさわしい味ができるまで、通常の開発と比べて2倍以上の時間がかかったこともあった。試行錯誤のうえ、複雑な香りと深いコク、フルーティーな味が特徴のビールが誕生した。
サッポロビールの「飲み比べ」の提案は、ビール離れが指摘されている若者らの心をしっかりとつかんだ。斎藤さんは「ベルグシリーズがビールの奥深さに気付くきっかけになれば」と考える。●田さんも「こんな新しいものだったら私も飲めるな、ビールって楽しいな、と思うきっかけづくりを続けていきたい」と意欲的だ。(鈴木正行)
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≪企業NOW≫
■ネット通販強化で顧客開拓
サッポロビールのインターネット通販における戦略は、店頭での販売とは異なるアプローチをすることだ。
消費者は、通販サイトにあるランキングやレビュー(書き込み)を読んだうえで購入するケースが多い。ホワイトベルグに関するレビューからは、「値段の割においしい」「ビール嫌いでも飲める」などの評価があり、その後の派生商品の開発や販売促進の面で参考になったという。