今年8月に創立30周年を迎える出版文化社は、出版業界で社史事業の最大手。これまでに1000点を超える社史を受注・制作してきた。社史は会社の歴史を社員が共有し、一体感を醸成する上で有効な役割を果たすため、広報・福利厚生対策の一環としてとらえられがちだが、浅田厚志社長は「経営改善の機能がある」と強調する。
--社史発刊のメリットは
「経営者は社史の前で『果たして正しい決断だったのか』と自問自答したじろいでしまう。そういった葛藤を乗り越えて社史を出すことは、経営者としての誠意を示すことになる。しかし、経営問題が発覚した企業の経営陣は、きちんと向き合っていないケースが多い」
--例えば
「食品偽装の発覚によって廃業したメーカーは、実質的なトップが決してインタビューに登場しようとしなかった。偽装工作の張本人だったことが後から発覚したが、後ろめたい行為をしていたため、対応できなかったのだろう。ある不正を犯したメーカーは日本を代表する企業なのに、最後に発刊したのは1970年代の前半。同様の思惑が働いたと考えられる」
--すべての企業が社史の役割を理解した上で発注するのか
「経営改善のほかに沿革の紹介、社員教育、PR用と大きく4つに目的が分かれる。経営改善という切り口から依頼する企業は数少ない。ただ、経営者と会ったときにPRするようにしている。われわれの考えを理解した上で、経営改善という側面を前面に出すと、素晴らしい社史になると自負している」