だが、本当にシャープには、流出したら国益を損ねるような高い技術があるのか。液晶技術は世界一だ、携帯電話向けカメラ部品の技術は他社を凌駕(りょうが)する-、そんな声が聞こえる。だが、それが真実ならシャープが今の惨状に陥ることはなかったはずだ。
また、本当に日本の国益を損なうぐらい高度な技術だとすれば、他の日本企業が放っておかないはずだ。なぜ日本の会社はシャープ買収に手を挙げないのか。
鴻海に対抗して買収提案しているのは日本の“官民ファンド”産業革新機構だ。3000億円規模での買収を打診しているという。機構は“官民”とは名ばかりで、出資金3000億円のうち民間が出しているのは僅か140億円だけ。全体の4.6%だ。しかも政府は1兆8000億円という巨額の保証枠も与えている。
“官民ファンド”という名前からは、官民が共同してリスクを取り、支援先企業に投資をしていくというイメージがある。だが実態はどこの出資企業も機構への出資が「リスクオン」だとは考えていない。全て政府がリスクを背負ってくれると思っているのだ。