「食の安全にこだわり、真面目に造るということを代々、受け継いできた」-。斎藤酒造店は、ユダヤ教の教義にのっとった安全で高品質な食品であることを示す「コーシャ」認証を青森県内の酒造会社で初めて取得した。18代目の土居真理社長(58)は、今後も安全・安心の原材料で愚直に酒造りに取り組む。
◆ユダヤ教の教え重ね
コーシャ認証を取得するためには製造ラインや原材料など厳しい条件をクリアする必要がある。日本酒の場合、コメの生産地や水の保管方法、工場内の清掃方法など、公表されているだけで18項目の基準があり、抜き打ち検査もある。コーシャ認証を受けた食品はユダヤ教義に従ったというだけでなく、「安全」という意味合いを持ち、米国では安全で高品質な食品として認知されている。
「良い物を造るのは当たり前だが自然に感謝し、家族愛、仲間を大事にするというユダヤ教の教えが酒造りの精神と重なった」。酒は神にささげるお神酒を造るという精神から、かねてから食の安全にこだわり続けてきた土居社長。一方で、コーシャを取得するために酒造りをしてきたわけではない。約20年かけて純米仕込みだけという生産の方向性を確立した。しかも「本来あるものを変えない。素を生かす」という先代の教えを忠実に守り、酒造りで最も大事な水とコメにこだわり、あるがままの自然と真摯(しんし)に向き合ってきた。
水は岩木山、青森・秋田両県にまたがる世界遺産・白神山地の伏流水を使用している。
こうした取り組みで培われた品質が評価され、昨年12月、「六根」の7銘柄13アイテムがコーシャ認証を取得。「安全・安心にこだわるということを全員が共有しないとできない。従業員の理解があったおかげ」と土居社長は目を細める。「安全・安心の目印としてだけでなく、広く飲んでほしい」と話し、コーシャ取得を契機に米国などへの展開も視野に入れる。