
吉田正弘労務委員長【拡大】
2016年春闘は相場を牽引(けんいん)する自動車大手の労働組合がベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分として月額3000円の要求で足並みをそろえた。労組側は昨年の半分の要求でベア確保を図るが、3年連続のベアに経営側は慎重な姿勢を崩さず、意見の隔たりは大きい。日本自動車工業会の吉田正弘労務委員長(ホンダ常務執行役員)と、自動車総連の相原康伸会長に賃上げについて聞いた。
■格差是正する賃上げが必要
□自動車総連・相原康伸会長
--3年連続でベアを要求した
「過去2年はデフレ脱却に取り組んできたので、今春闘ではデフレに二度と戻らない日本経済をつくるのが狙いだ。そのために消費の基盤となる賃上げの役割は大きい。大手企業に加え、中堅・中小や非正規社員などに賃上げの恩恵を行き渡らせる面的な広がりが求められる。経済の変調や先行き懸念があるが、経営側と議論を深めたい」
--格差是正をテーマとして統一要求額を昨年よりも抑えた
「部品メーカーや販売会社などを含めて産業全体で一体感のある取り組みができる水準を徹底的に議論して決めた。その結果、部品メーカーの平均要求額は自動車メーカーを上回っており、入り口段階で格差を縮めることに成功した。この隊列を崩さずに最後まで交渉していきたい」