大容量フィルム型リチウムイオン単電池。軽量を生かし用途の多様化につなげる【拡大】
積水化学工業は9日、大容量フィルム型リチウムイオン電池事業に本格参入すると発表した。第1弾として2016年度から住宅向けの定置タイプを投入する。温暖化ガスの排出量削減に向け、建物から出るエネルギー消費量を実質ゼロにする「ゼロエネルギー住宅」の普及が課題となっている点を追い風に、5年後には年間100億円の売り上げを目指す。もう一つの核となる自動車分野については20年以降の搭載を計画しており、一連の取り組みによって30年頃には1000億円規模の事業にする。
同社は13年に同電池を開発。15年にはリチウムイオン電池の開発を手掛けるエナックスを買収するなど事業化に向けた準備を進めてきた。
その過程で極限まで薄膜化を実現する材料とプロセス技術を開発。耐熱性や耐衝撃性が大幅に向上したことから市場への投入を決めた。
積水化学のR&Dセンター(茨城県つくば市)やエナックスで生産するのは単電池とシステムタイプ。住宅向けは15年以上の長寿命に加え、一般的な市販蓄電池に比べ容積が半分ながら約2倍の高容量といった特性が特徴で、「訴求力がかなり強い」(上ノ山智史取締役)という。このため間取りの自由度向上などで優位性を発揮できると積水化学はみている。
車載については、薄型を利用して設置場所の低床化を実現。容量は現状比で倍増するほか、実用化に向けてさらなる高出力を目指す。