積水ハウス、初の街区を越えた電力供給 宮城県東松島市スマート防災エコタウン (3/3ページ)

2016.4.18 07:13

太陽光パネルが並ぶ宮城県東松島市の災害公営住宅「柳の目東住宅」。街区外の病院などにも電力を供給する(積水ハウス提供)

太陽光パネルが並ぶ宮城県東松島市の災害公営住宅「柳の目東住宅」。街区外の病院などにも電力を供給する(積水ハウス提供)【拡大】

 それらと比べ東松島市の団地は規模が小さいし、画期的な新技術を用いたわけでもない。しかし自営線を引いて街区外まで送電する試みは初めて。プロジェクトリーダーを務めた積水ハウスの石田常務は「コストの積算から、電柱や自営線の工事をしてくれる業者探しまで、すべてが手探りだった」と振り返る。

 一連のシステム構築にかかった費用は5億円で、そのうち75%は環境省の補助金交付を受け、25%を市が持ち出した。しかし東北電力から購入した際の電気料金との差額から、東松島市には毎年数百万円の黒字が発生する。その利益を地域振興などに振り向ける。

 街区外の病院などへの送電は、大手電力会社の電線を使えば託送料がかかるが自営線を使うため無料。こうして設備投資額を20年以内に回収できるスキームに仕上げた。

 電力の自給自足はエコの観点だけでなく防災面からも重要だ。2014年12月に四国を襲った大雪では停電による集落の孤立が相次ぎ、地方は大都市以上に災害への備えが必要といえる。同市の阿部秀保市長は「市民の命を守るためには、災害時のエネルギー確保が不可欠だ。安全・安心なまちづくりの新しいモデルになるだろう」と期待を込める。(山沢義徳)

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