
石垣が崩落し、地震の傷痕が痛々しい熊本城【拡大】
政府は地震後に発表した4月の月例経済報告で、「景気はこのところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」と述べて、下方修正した前月の判断を据え置いた。だが、日本経済に及ぼす熊本地震の影響については、全体像の把握になお苦慮しているのが実情だ。
景気に勢いが出ないタイミングで地震の影響が拡大すると、家計や企業の心理を冷え込ませ、個人消費や設備投資にも悪影響を及ぼしかねない。昨年10~12月期にマイナス成長となった日本経済の不振に追い打ちをかけ、デフレ脱却の期待に水を差す恐れもある。
九州の地域経済は観光業も柱の一つだが、既にツアーの中止が相次いでいる。有数の農業生産地でもある熊本や大分では、農地への被害だけでなく、交通網の寸断による出荷の停止や遅れも出ている。
政府は、熊本地震を激甚災害に指定することを閣議決定するとともに、復旧・復興を目的とする今年度補正予算案の編成を急いでいる。6000億円規模で、今国会中の成立を図る構えだ。地場経済の不振は国内全体の消費にも影を落とす可能性がある。中小企業の支援はもちろん、観光業や農業など、迅速で、きめ細かな配慮が必要だ。