シャープの奥田隆司社長(当時)は「世界は生産規模で勝負が決まるパワーゲームが起きている。もはや技術だけでは勝てない」と鴻海との提携に活路を見いだそうとした。
ところが、日台連合はすぐに暗礁に乗り上げた。
24年8月にシャープは25年3月期の業績を大幅に下方修正し、株価が100円台に落ち込んだからだ。
1株550円で出資に合意した鴻海は不信感を持ち「鴻海の株主や台湾当局に説明がつかない」と条件の変更を要求、折り合えないまま出資を見送った。
シャープ社内にも提携交渉で決めたことがすぐに覆される鴻海流に不信感が募っていたが、このときはまだ破談を選択し、銀行の支援を受けて自主再建する道が残っていた。