実証プラントの水素発生装置(NEDO提供)【拡大】
「産廃の運送は任せるとのことだったが、コストや二酸化炭素(CO2)排出など環境負荷を考えると、残渣を産廃処理するのは何か違うのではないかと思ってしまった」と水木常務は振り返る。
ゼロからの調査・研究開発を通して、乾留炉によるプラスチックとアルミの分離に成功したが、薄いアルミは高温で燃えてしまい、インゴットにするのは難しい。そこで、アルミ9キロから1キロの水素を生成できることに着目し、効率よく連続運転できる水素発生装置とアルカリ溶液の開発に乗り出した。同社は並行して09年度に環境省の支援を受け、富山市と金沢市、福井市でアルミ付き容器回収の社会実験を実施している。
今回の検証事業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」(14~16年度)に採択され、14年12月から実証用の乾留炉と水素発生装置の開発に取り組んできた。連続処理のめどが立った昨夏にプラント建設に着手。NEDOによる試算では、このシステムでアルミ系廃棄物を900トン処理した場合、一般家庭4600軒分の月間使用量に相当する170万キロワット時の省エネ効果が得られ、CO2排出削減量は年間約1200トンになるという。
プラント規模を変えて発電施設、水素ステーションなどに併設すれば、運搬コストが削減される分、水素供給価格も安くできる可能性もみえてきた。「このシステムは投入エネルギーより水素、ガス、オイル、熱などの形で回収できるエネルギーの方が多いのが特徴」と水木常務は指摘する。
実証プラントは6月に、燃料電池車の走行距離換算で約700キロ分に相当する「1時間当たりの水素発生量5キロ」を達成する予定だ。(日野稚子)