シャープの高橋興三社長=12日、東京都港区(寺河内美奈撮影)【拡大】
今さら誰が悪かったのかと追及しても、シャープが元通りになるわけではない。しかし失敗の責任をあいまいなままにしたために、抜本的な再建策を打てずにずるずると来てしまったのではないか。
同社が頂点を極める原動力になったのも、どん底に落ち込む原因になったのも、液晶部門である。前期決算でも最大の赤字は液晶パネル部門による。ここに早期にメスを入れていれば違う選択肢があっただろう。
しかし「液晶の後も液晶」と言っていた片山氏はもちろん、奥田氏や今の高橋社長も液晶を柱に据え続けてきた。再建計画を立てても液晶部門の業績急落で水泡に帰す繰り返しだった。その揚げ句が身売りである。「撤退」を「転進」と言い換えて、身内をかばい続けて敗因分析を怠った旧軍部の失敗に似ている。