【高論卓説】シャープ、引責辞任のない不思議 歴代トップの失敗が招いた身売り (4/4ページ)

2016.5.17 06:50

シャープの高橋興三社長=12日、東京都港区(寺河内美奈撮影)

シャープの高橋興三社長=12日、東京都港区(寺河内美奈撮影)【拡大】

 高橋社長は「何がこうなった原因か、振り返っている余裕はない。何しろクロージングまで気を緩めるわけにはいかないからだ」と言う。言い逃れのように聞こえるが、素直に受け取ればゲームはまだ終わっていないのかもしれない。

 6月末と見込むクロージング、つまり出資金の払い込み完了までに、鴻海の郭台銘会長が何を言い出すのか不確定な要素が残っているのだろう。したたかな相手である。

 鴻海はシャープ側の責任で買収契約が壊れたら、液晶事業の譲渡を受ける権利を獲得している。際どい事情が潜んでいるのならば、責任問題にけりがまだついていないともいえる。

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【プロフィル】森一夫

 もり・かずお ジャーナリスト 早大卒。1972年日本経済新聞社入社。産業部編集委員、論説副主幹、特別編集委員などを経て2013年退職。著書は「日本の経営」(日本経済新聞社)、『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(同)など。66歳。

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