製紙や鉄鋼、売電事業強化 国内縮小の中、新たな収益源に (2/2ページ)

2016.5.24 06:13

昨年6月に稼働した日本製紙八代工場のバイオマスボイラー=熊本県八代市

昨年6月に稼働した日本製紙八代工場のバイオマスボイラー=熊本県八代市【拡大】

 バイオマス発電は、王子ホールディングス(HD)も三菱製紙と3月に合弁会社を設立。三菱製紙八戸工場(青森県八戸市)に約240億円をかけて7万5000キロワットの設備を導入し、2019年に稼働させる。FITを利用して年間5.3億キロワット時の電気を電力会社に販売、年間約110億円の売り上げを目指す。

 王子HDは北海道と静岡で水力発電所の改修も進める。電力事業の17年3月期の売上高(見通し)は211億円で、矢島進社長は「19年度には1.5倍程度に拡大したい」と話す。

 製紙各社が売電に力を入れる背景には、国内の紙需要が少子化やデジタル媒体の普及で減るなか、多角化を進め、新たな収益源を開拓する狙いもある。

 一方、売電は鉄鋼大手も強化している。神戸製鉄所は、19~20年度に栃木県真岡市のアルミ板工場隣接地で125万キロワットのガス火力発電所、21~22年度に神戸製鉄所(神戸市灘区)の高炉跡地に130万キロワットの石炭火力発電所をそれぞれ建設。

 合計投資額は3000億円程度に達する見通しだが、「(電力は)長期電力供給契約を結ぶため、鉄と違って市況変動の影響を受けにくい」として、鉄鋼、機械と並ぶ、経営の柱に育てる。

 鉄鋼大手では、新日鉄住金も電源開発(Jパワー)との合弁会社が20年の稼働を目指して鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)に石炭火力発電所を建設中だ。

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