シャープの次期社長に内定した鴻海の戴正呉副総裁は2日の記者会見で「今の本社の近くに新本社を建て、一番上の方に必ず記念館をつくりたい」と述べていた。だが、新本社は現在の本社近くに建つ可能性はなくなった。堺工場に移転することが決まったからだ。
記念館構想は、鴻海が創業家に敬意を示すことでシャープとの融和を図ったとみる向きもあるが、シャープ自体が創業家との関係性が薄まっている。それに記念館とシャープミュージアムのコンセプトは重複している。要は同じ器はいらないのである。創業家の存在感が薄らぐ中、新しい記念館をどんなイメージを打ち出せるのか、実現性や実効性には疑問符がつく。
天理市では、観光資源でもあるシャープミュージアムの移転を心配する声も出始めている。現時点で記念館計画は進行中だが、鴻海サイドは約束を守るのか、その動向が注目される。