著作物は作者にとっては自分の分身、わが子も同然。それをめちゃくちゃに扱われたことに怒ったAさんは、この提供会社に600万円の損害賠償を求めて大阪地裁に訴訟を起こした。代理人弁護士によると、制作会社の責任も追及するつもりだったが、そのときはすでに倒産しており、断念したという。
Aさんは訴訟で「提供会社の著作物取り扱いに関する無神経さ、鈍感さは、単なる注意義務違反にとどまるものではなく、業務として著作物を取り扱う事業者としてみれば、故意ともいえる重大な注意義務違反だ」と批判。今回のようなイラストの改変は「原告のキャリアに傷をつけ、ファンに失望、誤解を生じさせ、今後の創作活動に重大な悪影響を及ぼす。精神的苦痛は計り知れない」と訴えた。
一方の提供会社は代理人さえ立てず、口頭弁論期日に一度も出廷しなかったほか、書面の提出もなかった。このため裁判所はAさんの主張を全面的に認め、4月の判決では「漫画家の創作意図や目的を著しくゆがめ、作家としての原告の信用を大きく毀損する、極めて悪質な改変行為だ」として、提供会社に請求全額の賠償命令が出された。
市場拡大、モラル追いつかず
矢野経済研究所(東京都中野区)が発表した「『オタク』市場に関する調査結果」によると、26年度の恋愛(乙女)ゲーム市場は137億円に上る。