
トヨタ自動車の元町工場。同社は2日から工場を全面再開する=1日、愛知県豊田市【拡大】
今回、トヨタが生産への影響を最小限に食い止めたのは東日本大震災の教訓がある。震災で部品供給網が寸断されたのを受け、供給網について直接取引がない下請け企業まで調べられるようにした。また、有事の際には部品不足を避けるために、系列会社が同業他社に代替生産を依頼するなどの対応策も講じている。
ただ有事でも生産を止めないというトヨタが目指す体制の構築は道半ば。在庫をできるだけ持たず、必要に応じて部品をラインに届ける「トヨタ生産方式」では不測の事態に陥ると一時的に部品不足になるからだ。2月にはグループの愛知製鋼の爆発事故に伴う特殊鋼不足で国内全工場で生産を停止。4月の熊本地震でもアイシン子会社が被災しドア部品などの供給が滞り、ほとんどのラインで生産が止まり、合計で約17万台の生産に遅れが生じた。